日々の贈り物(私の宇都宮生活)

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カテゴリ:インタビュー( 5 )

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益子の城内坂入口にある日下田(ひげた)藍染工房さん。
母屋は住居と藍染めの作業場兼用の茅葺屋根。
栃木県指定文化財になっている築200年の建物は、あの震災にも耐えた。
作業場には愛知県常滑焼の180リットル入の藍ガメが72個、土の中に埋められている。
全部稼動していないのはどうしてかと思ったら、微生物のために休ませながら順番に使っているとか。
この工房の主、日下田正さんは9代目で1939年生まれ。
民芸運動の濱田庄司、柳宗悦、河井寛次郎らを直接知る数少ないうちの一人とのことで、話をうかがう会が催された。


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ほんの軽い気持ちで訪れたところ、ライターさんと学芸員さんもいらっしゃって本格的。
彼らの質問は的確で、しかも学芸員さんの博学なことったら!
こんなに頭の切れる女性がいるのは嬉しい事。きっと努力の違いね。


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資料を見ながら順を追って話をうかがう。
聞くほどに、イメージと現実のズレを感じる。
「民芸」というコトバに対して、あるいは「民芸運動」に対してモノをつくる職人さんや作家さんには様々考えるところがあると思うのだけれど、根本はシンプルで後世のためだったのではなかろうか。

私が聞いた濱田氏のエピソードの中で印象的だったのは、川崎出身の濱田氏が益子に来た時、地元の若者たちを集めて「焼き物はこれから盛んになる。他の仕事もこれから必要とされるから手仕事を頑張ろう」と声を掛け、彼らの収入になるようにそれぞれ仕事の注文を出したこと。
日下田さんのお父様(8代目)には手織りの作務衣を注文したとか。

この夜の日下田さんの話はライターさんが記事にまとめて出すと言っていたので、そのうちどこかで目にする機会があるかもしれませんね。

現在の日下田さんは種子から綿を育て、紡いで織ることに重点を置いてる。
手間ひまかけて織りにこだわるのは、その質感と「未だに思うようにいかないことが多い。たまに上手くいくと嬉しい」ところにあるようで。
貴重なお話をありがとうございました。


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おまけ。
日下田さんを囲む会は、茂木在住の陶芸作家 和田さんの家で開催されたのですが、彼曰くこの「貫入(かんにゅう)」を知らない人が多いそうで。
これは「ヒビ」とは全く別物で、使用しているうちに変化していくものなんです。
これを「育てる」と言ったりするんですけれどね。
陶器を購入したお客様から「ヒビが入ってる!」と苦情を言われることもあるそうで。
少しずつ色んなことが忘れられているのでしょうか。
この日は、様々なことを考える夜になりました。


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by vivian-style | 2017-07-29 22:28 | インタビュー | Comments(0)

陶芸作家 渡辺キエさん

そろそろ益子で開催される春の陶器市情報があちらこちらで出るようになったので、この記事をアップしますね。

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ご縁があって、益子の陶芸作家の渡辺キエさんの工房を訪ねることになった。
道の先に人家があるとは思えないような場所。


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彼女の作品の特徴は揺らぎのある磁器。
それが何ともいえない味わいとなって、ファンの心を掴む。
話をうかがうと、本来は完璧主義のよう。
陶器で毎回自分の納得する形を追及するのが大変なので、型を使った磁器に移行したそうで。

渡辺さんは兵庫県の三田市生まれ。
転勤族の親の元で西日本を渡り歩き、社会人になってから濱田庄司氏の作品に出会い、陶芸の道へ。
益子は誰でも受け入れてくれる自由な雰囲気があって、自分のやりたい事が出来るのは有り難いと語る。
ただ、笑いのツボが違うので、関西では普通のコトバでもこちらでは悪くとられてしまうこともあるのでそこが苦労する所でもあるとか。


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うかがったのは3月。
この時は工房を直していたので、今年の春の陶器市の出店はお休みするという話でした。
「今年の春は出ない」と告知する方法がないとのことで、こちらで書いておきますね。
彼女の作品を楽しみにしていた誰かの目に止まりますように。

これから新しい工房でどんな作品が作り出されるか楽しみです。


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by vivian-style | 2017-04-17 22:17 | インタビュー | Comments(0)
インタビューシリーズ第3弾は、日光市在住の鬼才香川大介さん。
全くの偶然なのですが、本日(16日)付の下野新聞朝刊の文化面に香川さんがインドで描いてきた壁画についての記事が載っていますので、興味がありましたらそちらも読んでみてくださいね。

今回は、息子の中学時代の後輩で画家志望の男の子(高校3年生)も帯同しました。

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結婚して1年の可愛らしい奥様も同席して、和やかなムードで。

私が香川さんに興味を持ったのは、Facebookで見た動画がきっかけでした。
今まで見たこともないような作風、そしてパフォーマンス。
どうしても話が伺いたくて、日光在住の知人にお願いしいて紹介していただきました。


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現在、香川さんは古民家を改装してギャラリー兼ショップをオープンさせるために日夜そちらにかかりきりで、作品は製作していないそうなのですが、これならと出してくれたのがこちらの皮革に描かれた絵です。
大きさが分かるようにこの写真をアップしますね。


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正面から見ると、このように色鮮やかで摩訶不思議な絵画。これを更にアップで見ると


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この通り。どんなに緻密で繊細かお分かりいただけるでしょうか。

香川さんは福岡県出身。
高校卒業後、東京に出てアルバイトをしながら好きな絵を描き1年に3回個展を開いていたそう。
最初はボールペン画や油性ペン画。
独学で感性の赴くままに絵を描き続け、絵だけで食べていけるかどうか試そうと2005年から2年間、沖縄から北海道まで製作しながら縦断。
その時の経験や知り合った人の存在が今も大きいと。

--日本縦断の旅は最初からうまく行ったんですか?
沖縄からスタートしましたが、最初は全然売れなくて辛かったですね。
たまたま九州の教会でシスターに墨を渡され、Tシャツに和柄を描いたら刺青Tシャツとして売れ出しました。
それが今の作風の原点になったかも。
刺青Tシャツを売りながら歩き、時には壁画を頼まれることもありました。

その時の縁で2008年、日光に工房を構える。

--独学で絵を描く苦労は?
例えば、紙一つとっても、何が最適かは試してみないと分からないんです。
でも、回り道となってしまっても自分の経験から学んでいきたいと思っています。

--どの作品もとても緻密ですけれど、下書きはされているんですか?
描きながら手が動くので下書きはしないですね。
最後どうまとめるかは考えますけれど。

--どこから描き始めるんですか?
良く聞かれますが、分からないです。気が付いたら描き始めている感じで。

--かなり集中力が必要だと思うのですけれど。
話しかけられても全然平気です。描くのが少し遅くなるくらい。

--こんな細かい作品をずっと描いていたら集中が切れませんか?
5~6枚、7~8枚を平行して描くので大丈夫です。

--タイトルありきで描くんですか?
出来上がりを見てタイトルを付けています。
タイトルなしの作品も多いんですけれど。

現在は墨とアクリル絵の具や岩絵の具を使って和紙(麻紙)に描くことが多いそう。


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現在改装中のこの古民家も殆ど香川さんご夫婦で作業されているそうで。
奥様に香川さんがどんな人か伺いました。

--あんな繊細で緻密な絵を描くのだから、神経質だったりするんでしょうか?
作業は細かいけれど、おおらかな人なんです。

お料理も大工仕事もプロ並の香川さん。

奥様によると「器用で粘り強い」

なるほど~!


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最新作は奥様の作った洗面台への絵付け。
どんなギャラリーが出来上がるのか楽しみですね。
オープン予定は今年の春とか。


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作品は、下記の場所でも見られます。
・鹿沼市の日光珈琲朱雀
・鹿沼市の常陸屋呉服店
・宇都宮市のステーキ棟國
・日光市の幾何楽堂

香川さんのブログはこちら


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by vivian-style | 2016-01-16 22:06 | インタビュー | Comments(0)
インタビューシリーズ第2弾は、鹿沼市在住の若き立体造形家の高橋洋直さん。

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私が彼に興味を持ったのは、日光の「何時も庵」で圧倒的な存在感を放つこのカマキリに出会い、更に


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鼠穴小路の鼠のオブジェに心惹かれたから。
鉄の質感と何より造形の美しさが気に入って、どんな人が作っているのだろうと。


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5月のとある日、鹿沼にあるアトリエへ。
そこには看板も表札もなく、ただこの大きな虫が敷地への侵入者を見張るかのように潜んでいる。


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立ち上がると見上げるほどに背の高い高橋さん。
お兄さんが絵を描いていた影響で、今市高校時代は絵(イラスト)を描いていたのだけれど、立体が向いているんじゃないかと先生からアドバイスを受けて大学(文星芸大)ではそちらの道へ。
課題で木彫や石彫もやったけれど、鉄は無理がきくから面白いと。

何を考えながら作品を作っているんですか?
自分なりのストーリーみたいなものはあるけれど、特に難しいメッセージを込めてはいない。

虫の作品が特にリアルですよね?
虫は造形が既に完成品だから、そのままで作りたい。

「何時も庵」に置いてあるカマキリのタイトルが「捕食者」ですが、なぜ?
大学の卒業制作だったので、周りの作品は全部喰うという意味で。
見に来てくれた人の投票では1位だった。


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作品を作る前にイメージをスケッチしたりするんですか?
表側だけ描いて裏側は実際に作りながら。

これからどんな作品を作っていきたいですか?
今は主に鉄だけで作っているけれど、異素材を組み合わせるのも面白いと思っている。
鉄は錆びるものだから、その錆びる過程も楽しむというものがあっても良いんじゃないかな。


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怪我にさえ気をつけてくれれば自分の作品は触ってもらってかまわない。
どうなっているのだろうと裏側が見たいだろうし動かしたいだろうし。
手垢が付いても鉄だから拭けば良い。壊れたら直せば良い。


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高橋さんの作品は下記の場所で見られます。
・何時も庵(日光)・・・外のカマキリ
・リキッドルーム(宇都宮)・・・お店の前の鼠穴小路のネズミ、お店の中のトンボの窓枠
・饗茶庵(鹿沼)・・・喫煙席のタバコを吸うお兄さん
・ダリ(宇都宮)・・・小さいカマキリ
・加蘇のコミュニティセンター(鹿沼)・・・蜂の巣&蜂

6月には那珂川町のサンタヒルズで作品展を開催予定とか。
細部にまで拘った丁寧な作品は感動モノです。
皆さんも機会がありましたら彼の作品を見てくださいね。
そうそう、宇都宮の「あおぞら珈琲」の椅子のアイアンの脚も高橋さんの作品ですよ。

高橋さんのブログ

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by vivian-style | 2015-05-22 22:54 | インタビュー | Comments(0)
栃木県で私が出会った沢山の多才な人々。
彼らの興味深い話を是非紹介したいと思って、記事にまとめることにしました。
数ヶ月に一人くらいのペースで続けられたら良いかなと思っています。
よろしかったら、お付き合いくださいね。


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インタビュー記事を書こうと思ったきっかけは、こちらの鎌田さんが俳優として更に飛躍するために東京へ拠点を移すと聞いたので。

彼の経歴はちょっと異色。
宇都宮工業高校卒業後、ハードウェアのエンジニアとして日立製作所に6年勤務。
が、適職ではないと感じてかねてからやりたかった「役者」を目指す。
本人曰く人見知り。でも、芝居で違う世界に行けるかなと。

「サラリーマンから役者への転身は勇気がいったのでは?」
テントを持ってバイクで日本一周の旅に出た。
それが完遂できたら役者にもなれるんじゃないかと思って。
半年かけて旅を続けるうちに自分がリセットされて感性が高まったように感じる。

東京の俳優養成所で半年のトレーニングを受け、小さな劇団で3年弱活動。
このままではと思い、チャンスがあったのでハリウッドの演劇学校へ。
スシ・レストランでバイトしながらの生活。
最初の3年間は必死で、どう生きていたか覚えていないほどと。


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「英語は得意だったの?」

全然喋れない状態から、3年くらい経った頃から何を言っているか分かるようになった。

アメリカでの履歴書を見せてもらうと、出演した映画の中にパール・ハーバー、キル・ビル、ラスト・サムライなどが並ぶ。
仕事が軌道に乗ってきてこれからという所でリーマンショック。
外国人に割り当てられるビザが大幅に減り、2010年春、12年生活したアメリカを離れ地元栃木へ戻る。
翌年、東京へ出ようとした矢先にあの3.11。

履歴書のスペシャル・スキルに書かれたバーテンディングと書道の腕を生かしてNORiONで働きながら俳優活動も続けてきた。
昨年は、ハリウッドで撮影してきたGun Woman(女体銃)での役で高い評価を得た。

止まらない限り前に進める

そう語る鎌田さんは今、大きなチャンスを掴もうとしている。
いつかアカデミー賞のレッドカーペットで再会できますように。


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こちらの動画は本人の許可をいただいています。

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by vivian-style | 2015-04-09 22:16 | インタビュー | Comments(2)

素敵な時間を過ごせますように


by vivian